体験記第5話期間工7社経験
給料日前夜に口座残高3,842円を見る期間工のイラスト
分からないものは怖い。でも、分かれば少しずつ変えられる。

給料日まで、あと四日。スマホに表示された口座残高は、3,842円だった。生活できない金額ではない。寮費はほとんどかからないし、食料も少し残っている。給料も予定どおり入るはずだ。それでも、その数字を見た瞬間に落ち着かなくなった。

3,842給料日4日前の口座残高

同期が辞めた日の夜だった。隣の空になったロッカーを見て、自分もいつか工場を出るのだと考えた。そのとき、手元に何が残っているのか。急に気になって口座を確認した。思っていたより、お金は残っていなかった。

その日の朝 同期が辞めた朝

稼いでいるはずだった

期間工になってから、以前より給料は増えた。夜勤手当がつく。残業をすれば残業代も入る。寮費が抑えられる分、普通に一人暮らしをするより貯めやすい。給料明細を見たときには、これならお金を残せると思っていた。大きな買い物をしたわけではない。高い服も旅行もない。それでも、お金は少しずつ消えていた。

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小さな支出

仕事へ行く前の缶コーヒー。休憩中のエナジードリンク。夜勤明けのコンビニ弁当。休みの日の外食。一回は数百円、多くても千円程度だったから気にしていなかった。今日くらいいい。疲れているから仕方ない。寮費がかからないから大丈夫。毎回そう思っていた。

数百円では生活は壊れない。でも、数百円を気にしなくなる習慣は、少しずつ口座残高を減らしていった。

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コンビニへ行った

夜勤明け、部屋にはインスタントの味噌汁、冷凍したご飯、納豆が少しあった。それでもコンビニへ行った。疲れているときは、温めることさえ面倒になる。いつもなら迷わずカゴに入れていたのに、その日は値札が妙にはっきり見えた。

いつものカゴ値段
弁当598円
飲み物168円
デザート238円

全部買っても、残高がすぐになくなるわけではない。でも、3,842円を思い出した。給料日まで、あと四日。結局、おにぎりを一つだけ買った。

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お金がないことより怖かったこと

部屋で冷凍ご飯を温め、納豆を開け、味噌汁にお湯を注いだ。食事としては十分で、コンビニ弁当を買わなくても困ることはなかった。そのとき、少し情けなくなった。3,842円しかないことではない。お金が残っていない理由を、自分で説明できなかったことが怖かった。いくら稼いで、何に使って、今月いくら残せたのか。何も把握していなかった。

給料が入れば大丈夫。来月から貯金する。満了金が入ったら一気に残す。そんなことばかり考えていた。でも、金額が増えただけで使い方が変わらなければ、どれだけ稼いでも同じことを繰り返す。ようやく気づいた。

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給料日が来れば安心できる

以前は、給料日前になると毎回同じことを考えていた。あと四日、あと三日、明日。給料日になれば、すべて解決する気がした。実際、給料が入れば安心する。少し使う。また安心する。そして月末になると残高が減っている。給料日を待つ生活は、同じ場所を回っているだけだった。このままでは、期間工を満了しても何も残らない。

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初めて支出を書き出した

寮へ来たときに持ってきた、普通の大学ノートを出した。覚えている範囲で、今月使ったお金を書いた。携帯代、食費、借金の返済、コンビニ、外食、日用品。正確な金額が分からないものも多かった。それでも、書いてみると見えてきた。

生活に必要なお金より、疲れたときに使ったお金のほうが多かった。仕事を頑張ったから、夜勤を乗り切ったから、今日は残業だったから。自分への小さなご褒美が、毎日のように続いていた。

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貯金できなかった理由

給料が少ないからだと思っていた。でも期間工になった後の自分は、以前より稼いでいて、寮費も抑えられていた。それでも残らない。問題は、余ったお金を貯金しようとしていたことだった。給料が入る、生活する、使いたいものに使う、月末に残っていたら貯金する。それでは、ほとんど残らなかった。残るかどうかを、その月の自分に任せていたからです。

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次の給料日から変えたこと

大きな節約はしなかった。食事を極端に減らしたわけでも、コンビニへ二度と行かないと決めたわけでもない。変えたのは三つだけだった。

  1. 給料日に先に分ける

    給料が入ったら、最初に貯金分を別の口座へ移す。余ったお金を貯めるのではなく、残ったお金で生活する。

  2. コンビニへ行く回数を減らす

    完全にはやめない。何となく入ることを減らす。水筒と簡単な食事を準備するだけで、使う金額はかなり変わった。

  3. 残業代を生活費に入れない

    残業が多い月の生活に慣れると、減ったときに苦しくなる。基本の給料で生活し、残業代はできるだけ残す。

お金が消えた理由 寮費無料でも意外とお金が消える理由|期間工なのに貯金できなかった支出

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最初からうまくはいかなかった

決めた翌月から、急に貯金できる人間になったわけではない。コンビニにも行ったし、外食もした。予定より使った月もあった。それでも、口座残高を見るだけだった頃よりは変わった。使ったお金を書く。残ったお金を見る。次の月に少し直す。その繰り返しだった。貯金は、我慢できる人だけがするものだと思っていた。でも実際には、何度も失敗しながら、お金を残す習慣を作ることだった。

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給料日前夜

ノートを書き終えた頃には、外が少し明るくなっていた。口座残高は3,842円のまま。借金も減っていない。満了後の仕事も決まっていない。何も解決していなかった。それでも、さっきまでより少しだけ落ち着いていた。お金がない理由を、初めて自分で見つけられたからだ。

  • 前夜
    給料日4日前残高3,842円

    次の給料が入ったら、先にお金を分けると決めた。

  • 貯金
    少しずつ10万円、30万円、50万円

    先取りで、残高が増え始めた。

  • 到達
    後に初めて100万円を超える

    その数字を見たとき、感じたことは少し違っていた。

以前なら、給料日をただ待っていた。その夜は、次の給料が入ったら最初に何をするかを決めた。先にお金を分ける。残りで生活する。それだけだった。でも、その小さな変更から、残高は少しずつ増え始めた。

体験記の続き 残高が100万円を超えた日|期間工で貯金100万円まで8か月かかった 副業のその後 夜勤明けに配達する生活は続けられる?


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