給料日の夜。
銀行口座には、
以前の仕事より大きな金額が振り込まれていた。
寮費は無料。
水道光熱費もほとんどかからない。
これなら毎月かなり貯金できる。
期間工を始める前は、そう思っていた。
ところが給料日から二週間ほど経つと、
口座の数字は思っていた以上に減っていた。
高い物を買った記憶はない。
旅行にも行っていない。
ブランド品も買っていない。
それでも、
お金は少しずつ消えていた。
コンビニ。
自販機。
食堂。
休日の外食。
ネット通販。
一回の支払いは小さい。
だから、使っている感覚がなかった。
結論から言うと、
期間工の寮費が無料でも、何も考えずに生活すればお金は残らない。
家賃という大きな支出がない安心感によって、ほかの小さな支出が増えやすかった。
寮費無料の仕組みや個室・集合寮の違いをまとめて確認したい方は「期間工の寮はどんなところ?」も参考にしてください。
寮費無料でも生活費はかかる
「寮費無料」と聞くと、給料の大部分を貯金できそうに見える。
実際、家賃を抑えられる効果は大きい。
一般的な一人暮らしなら、毎月の家賃に加えて、水道光熱費や家具・家電の費用も必要になる。
期間工の寮では、こうした固定費を抑えられる場合がある。
ただし、無料なのは主に住む場所だった。
食費。
通信費。
日用品。
交通費。
娯楽費。
医療費。
税金や保険。
こうした支出までなくなるわけではない。
しかも、交替勤務や寮生活によって増えやすい支出もあった。
自分の場合、
家賃がないから貯金できたというより、
家賃がないのに使い方を変えなければ貯金できなかった。
寮生活でお金が消えた7つの理由
1.夜勤明けにコンビニへ寄っていた
夜勤が終わる。
工場の門を出る。
外は暗いか、少しずつ明るくなり始めている。
寮へ帰って食事を用意する気力は残っていない。
帰り道のコンビニへ入り、
弁当。
菓子パン。
カップ麺。
飲み物。
お菓子。
その日の気分で買っていた。
一回の支払いは1,000円前後でも、勤務のたびに寄れば金額は大きくなる。
寮費が無料だから、
食費くらいは気にしなくていいと思っていた。
実際には、家賃が浮いた分をコンビニへ流していただけだった。
疲れている時は、価格を比較する余裕がない。
食べたい物ではなく、
すぐ食べられる物を買う。
夜勤後のコンビニは、
食事を買う場所というより、疲労を金で解決する場所になっていた。
2.自販機を何度も使っていた
工場には自販機がある。
休憩に入る。
喉が渇いている。
小銭や電子マネーで飲み物を買う。
一回の金額は小さい。
だから、
家計簿につけるほどではないと思っていた。
出勤前に一本。
休憩中に一本。
残業前にもう一本。
それを毎日続ければ、月では無視できない金額になる。
水筒を持っていけば安く済む。
分かっていても、洗うのが面倒だった。
忘れた日は自販機を使う。
いつの間にか、
水筒を持っていかない方が普通になっていた。
3.エナジードリンクに月1万円使っていた
夜勤中、
エナジードリンクがないと働けない時期があった。
一本250円。
月40本で1万円。
一本だけを見ると、
大きな支出には見えない。
眠気を抑えられるなら安いと思っていた。
しかし、毎月1万円なら一年で12万円になる。
寮費無料で浮いたはずの金が、
缶の中へ消えていた。
しかも、飲めば疲れそのものがなくなるわけではない。
一時的に動けるような感覚があるだけで、睡眠不足は残っていた。
夜勤のために買う。
眠れず、次の夜勤でも買う。
その繰り返しだった。
安い食事で済ませたつもりなのに、
別の場所でお金を使っていた。
4.食堂が安いからと追加で買っていた
社員食堂は、外食より安く食べられることがある。
定食。
麺類。
丼物。
仕事中に温かい食事を取れるのは助かった。
問題は、
食堂を使った後にも買い物をしていたことだった。
食堂で夕食を食べる。
仕事後に小腹が空く。
コンビニでパンやお菓子を買う。
寮へ戻ってから、もう一度食べる。
食堂代だけを見れば安い。
しかし、その前後の買い物まで合わせると、思ったより食費が増えていた。
夜勤や肉体労働では空腹になりやすい。
食べる量を無理に減らす必要はない。
ただ、
どこで何回買っているのかは把握した方がよかった。
5.休日にお金を使って気分転換していた
仕事の日は、
工場と寮の往復だった。
休日くらいは外へ出たい。
少し良い物を食べたい。
買い物をしたい。
そう思うのは普通だった。
外食。
映画。
ゲーム。
パチンコ。
ネットカフェ。
ショッピングモール。
寮で一日過ごすことに耐えられず、目的もなく外へ出ることがあった。
何か欲しい物があったわけではない。
部屋にいたくなかった。
仕事のことを考えたくなかった。
そのためにお金を使っていた。
寮費が無料でも、
休日のたびに一万円使えば月四万円になる。
期間工の給料が高くても、休日の使い方で簡単に消えた。
6.寮の不便をネット通販で解決していた
寮へ入ると、
足りない物が次々に見つかる。
収納用品。
寝具。
遮光カーテン。
延長コード。
掃除用品。
調理器具。
健康用品。
一つずつは必要に見えた。
ネット通販なら、寮まで届けてもらえる。
買い物へ行く必要もない。
夜勤明けにスマホを見ながら注文し、
数日後には荷物が届く。
便利だった。
ただし、必要な物と、
あれば便利な物の区別が曖昧になった。
狭い部屋に物が増える。
退寮する時には、
持っていけない物や捨てる物も出てくる。
期間工の寮は、
長く住み続ける家とは限らない。
買う時の値段だけでなく、退寮時に運ぶ費用や処分する手間まで考えた方がよかった。
7.寮費無料という安心感で家計を見なくなった
一番大きかったのは、
寮費が無料だから大丈夫だと思っていたことだった。
家賃がない。
給料も高い。
満了金もある。
多少使っても貯金できる。
その安心感によって、
毎月いくら使っているか確認しなくなった。
コンビニで800円。
自販機で300円。
ネット通販で3,000円。
休日に5,000円。
一回ごとの支出は、給料と比べれば小さく見える。
しかし、
小さい支出は何度も繰り返される。
大きな買い物をしていないのに金が残らない人は、毎日の小さな支出が生活の中に埋もれている可能性がある。
寮費無料で浮いたお金は見えない
家賃を払っていれば、
毎月決まった金額が口座から減る。
通帳やクレジットカードの明細を見れば、何に使ったか分かりやすい。
寮費無料の場合、
家賃として引かれなかった金は見えない。
例えば、一般の賃貸なら家賃に使っていたかもしれない金額が、口座に残っている。
しかし、
その金に「家賃が浮いた分」という名前はついていない。
普通の給料と混ざっている。
そのため、
自由に使える金のように感じた。
本来なら貯金へ回せた金を、
日々の買い物で少しずつ使っていた。
寮費無料のメリットを生かすには、家賃として払ったつもりの金額を、給料日に先に別口座へ移す方法が分かりやすかった。
残った金で生活する。
そうしなければ、
浮いた家賃はいつの間にか消える。
高収入でも先取りしなければ残らなかった
給料が入った後、
余った金を貯金しようと思っていた。
でも、
月末に余ることはほとんどなかった。
口座に金があると、
まだ使えると思う。
給料日前になってから節約する。
次の給料が入る。
また使う。
この繰り返しだった。
そこで、
給料日に貯金分を先に移すようにした。
借金返済。
貯金。
満了後の生活費。
先に必要な金を分ける。
残った金を、その月に使える金と考えた。
期間工は残業や休日出勤によって、毎月の給料が変わる。
給料が多かった月も、
生活水準を上げない。
通常月を基準に暮らし、増えた分は残す。
このやり方に変えてから、少しずつ口座残高が増え始めた。
お金が消えていた時の一日
出勤前。
コンビニで菓子パンとエナジードリンクを買う。
休憩。
自販機で飲み物を買う。
残業前。
もう一本買う。
仕事後。
疲れてコンビニ弁当を買う。
部屋へ戻り、
スマホで通販サイトを見る。
休日に届く。
どれも、
生活の中では自然な行動だった。
一回の支払いも大きくない。
だから、自分が浪費しているとは思わなかった。
ブランド品や高級車を買うことだけが浪費ではない。
疲れや退屈を、
毎日少額の支払いで埋めることも浪費になる。
夜勤の生活では、
意志が弱いから使うのではなかった。
疲れて判断する力が残っていないから、
一番簡単な方法を選んでいた。
必要だったのは、
買うたびに我慢することではない。
疲れた状態でも金を使わずに済む仕組みだった。
寮生活で支出を減らすためにやったこと
給料日に貯金を分ける
月末に余ったら貯金する方法をやめた。
給料が入った日に、
貯金分を別口座へ移す。
借金返済分も先に分ける。
最初から使える金を減らしておけば、口座に残っている金をすべて使うことはなくなる。
コンビニへ寄る回数を決める
完全に禁止すると続かなかった。
そのため、
勤務のたびに寄る習慣をやめた。
必要な物は休日にスーパーでまとめて買う。
夜勤後に食べる物を、出勤前に用意しておく。
コンビニを使う日を決める。
回数を減らすだけでも、支出は変わった。
飲み物を持っていく
水筒やペットボトルを用意し、自販機を使う回数を減らした。
前日の夜に準備しておけば、出勤前に面倒になりにくい。
忘れた日は買う。
毎日完璧にする必要はない。
十回買っていたものを五回に減らすだけでも意味があった。
夜勤後に食べる物を決めておく
疲れてから何を食べるか考えると、コンビニへ行きやすい。
冷蔵庫に、
すぐ食べられる物を置いた。
ご飯。
納豆。
卵。
冷凍食品。
スープ。
作るというより、
数分で食べられる状態にしておく。
夜勤後は健康的な料理を頑張るより、コンビニより安く済む食事を用意しておく方が続いた。
毎週一度だけ支出を見る
毎日細かく家計簿をつける方法は続かなかった。
そこで、
週に一度だけ銀行口座と決済履歴を見るようにした。
コンビニ。
自販機。
通販。
外食。
何に多く使ったかを見る。
細かい反省より、
同じ支出が何度繰り返されているかを確認した。
一回800円の買い物より、
それを週に何回しているかの方が重要だった。
節約しすぎても期間工は続かなかった
お金を残したいからといって、
すべてを我慢すればいいわけではなかった。
食事を極端に減らす。
エアコンを使わない。
必要な寝具を買わない。
体が痛くても病院へ行かない。
こうした節約は、
仕事を続けられなくなる可能性がある。
期間工では、
体調を崩して欠勤が増えれば給料へ影響する。
契約を満了できなければ、予定していた手当を受け取れないこともある。
削るべきだったのは、
睡眠や食事ではない。
何となく寄るコンビニ。
習慣になった自販機。
使っていないサブスク。
暇つぶしの通販。
自分にとって満足度の低い支出だった。
必要な物には使う。
使ったことを忘れるような物は減らす。
その区別が必要だった。
寮費無料なら本当に貯金しやすい?
寮費無料の期間工は、
貯金しやすい環境だと思う。
家賃という大きな固定費を抑えられる。
家具や家電を用意せずに入寮できる場合もある。
職場までの通勤費や時間も抑えやすい。
自分も、寮がなければ同じペースでは貯金できなかった。
ただし、
環境が貯金してくれるわけではない。
給料が高くても、
使えば残らない。
寮費が無料でも、
毎日少しずつ使えば消える。
満了金が入っても、
次の仕事までの生活費や引っ越し費用が必要になる。
期間工は自動的にお金が貯まる仕事ではない。
固定費を抑えやすく、
お金を残す仕組みを作りやすい仕事だった。
寮費無料という言葉だけで求人を選ばない
求人を見る時は、
「寮費無料」の一行だけではなく、次の点も確認した方がいい。
- 水道光熱費も無料か
- 食堂の料金はいくらか
- 部屋で調理できるか
- 冷蔵庫や電子レンジがあるか
- スーパーやコンビニまでの距離
- 職場までの通勤方法
- 車や自転車を持ち込めるか
- インターネット料金が必要か
- 寝具や備品の費用がかかるか
- 退寮時に費用が発生する条件はあるか
寮費が無料でも、
近くにコンビニしかなければ食費は増えやすい。
食堂が安くても、勤務時間と営業時間が合わなければ使えない。
職場まで遠ければ、通勤時間や交通費が増えることもある。
本当に見るべきなのは、
家賃だけではなく、寮で一か月暮らした時の総額だった。
給料日前のレシート
ある夜、
財布の中にたまったレシートを机へ並べた。
コンビニ。
自販機。
ドラッグストア。
ネット通販。
一枚ずつ見る。
高い買い物はなかった。
それでも、
似たようなレシートが何枚もあった。
一回の失敗ではない。
毎日の習慣だった。
寮費無料なのに金が残らない理由は、
特別なところにはなかった。
疲れた日に寄ったコンビニ。
眠気を抑えるために買った飲み物。
休日に寮から逃げるように使った外食費。
小さな支出が、
毎日の中に隠れていた。
家賃がなかったからこそ、
危機感もなかった。
給料が入れば、
また何とかなると思っていた。
でも、
期間工を辞めれば給料は止まる。
寮を出れば家賃も始まる。
今のうちに残せなければ、
満了後も同じ不安を抱えることになる。
まとめ:寮費無料でも使い方を変えなければ残らない
期間工の寮費が無料でも、お金が消える主な理由は次のとおりだった。
- 夜勤明けにコンビニへ寄る
- 工場の自販機を何度も使う
- エナジードリンクを習慣的に買う
- 食堂の前後にも食べ物を買う
- 休日の気分転換でお金を使う
- 寮の不便をネット通販で解決する
- 寮費無料という安心感で家計を見なくなる
自分の場合、エナジードリンクだけでも一本250円、月40本で1万円を使っていた。
高い物を買わなくても、
小さな支出を繰り返せば金は消える。
寮費無料は、
生活費がかからないという意味ではない。
家賃として消えるはずだった金を、
自分で残せる環境があるという意味だった。
その環境を生かすには、
給料日に先に貯金する。
コンビニや自販機の回数を減らす。
疲れた時に買わずに済む物を用意する。
週に一度だけでも支出を見る。
こうした小さな仕組みが必要だった。
期間工で貯金できた理由は、
給料が高かったからだけではない。
寮費が無料だったからだけでもない。
お金がどこへ消えているかを知り、
浮いた固定費を使わず残せるようになったからだった。