履歴書の学歴欄には、
中学校卒業と書いた。
職歴欄も、
自信を持って書ける内容はほとんどなかった。
正社員として長く勤めた会社はない。
資格もない。
人に説明できるような経歴もない。
求人サイトで期間工の募集を見つけても、最初は応募できる気がしなかった。
未経験歓迎。
学歴不問。
寮完備。
そう書かれていても、
本当に自分のような経歴で採用されるのか疑っていた。
面接へ行けば、履歴書を見た瞬間に落とされるのではないか。
空白期間について聞かれたら、何と答えればいいのか。
工場経験のある人や、若くて体力のある人だけが採用されるのではないか。
そんなことを考えながら、
応募画面を何度も閉じた。
結論から言うと、
中卒で正社員歴がほとんどなかった自分でも、期間工になることはできた。
トヨタ、日産、スバル、スズキ、アイシン、デンソー、いすゞ。
複数のメーカーで期間工として働いた。
採用されたのは、立派な経歴があったからではない。
決められた勤務を続けられること。
交替勤務や寮生活を受け入れられること。
面接で聞かれたことへ、無理に自分を良く見せず答えたこと。
学歴や職歴より、
入社後に働き続けられそうかを見られていたように思う。
結論:中卒・職歴なしでも期間工には応募できる
期間工は、学歴や正社員経験に自信がない人でも応募しやすい仕事の一つだった。
自分も中卒で、正社員として積み上げた職歴はなかった。
それでも採用され、工場のラインで働くことができた。
ただし、
「学歴不問だから何も見られない」という意味ではない。
面接では、次のような部分を確認された。
- 工場勤務や立ち仕事を続けられるか
- 夜勤や交替勤務に対応できるか
- 寮生活に問題がないか
- 過去の退職理由
- 健康状態
- 契約期間を働く意思があるか
- 遅刻や欠勤を繰り返さないか
- 作業内容や勤務条件を理解しているか
学歴の代わりに、
働くうえでの現実的な条件を見られていた。
中卒でも応募はできる。
職歴が少なくても採用される可能性はある。
ただ、入社した後は、学歴に関係なく同じラインへ入る。
仕事が楽になるわけではなかった。
履歴書に書くことがなかった
初めて履歴書を書いた時、
職歴欄の空白が気になった。
同じ年齢の人なら、会社名や役職、担当してきた仕事を書けるのかもしれない。
自分には、それがなかった。
短期間で辞めた仕事。
説明しにくい空白期間。
正社員として続いた経験もない。
履歴書を見るだけで、
これまで何も積み上げてこなかったことを突きつけられている気がした。
学校を卒業してから何をしていたのか。
なぜ仕事が続かなかったのか。
これから本当に働けるのか。
自分でも答えが分からなかった。
だから、履歴書をきれいに見せようとした。
空白期間をうまく説明する方法を探した。
立派に聞こえる志望動機も考えた。
でも、
無理に作った言葉は、面接で質問されるほど苦しくなった。
最終的には、経歴を必要以上に良く見せることをやめた。
働いていなかった期間は、
働いていなかったと答えた。
長く続かなかった仕事については、
続かなかった理由を短く説明した。
正社員経験がないことも隠さなかった。
経歴を変えることはできない。
それより、
今は働く意思があることを伝える方が現実的だった。
学歴より見られたと感じたこと
交替勤務に対応できるか
期間工では、昼勤だけでなく、早朝や夕方から深夜まで働く交替勤務になることがある。
生活時間が変わる。
世間が眠る時間に働く。
昼間に眠らなければならない。
面接でも、夜勤や交替勤務が可能か確認された。
ここで曖昧に答えれば、
入社後に続かないと思われる可能性がある。
自分は勤務時間を確認したうえで、対応できると答えた。
実際には、
夜勤生活は想像していたよりきつかった。
それでも、応募時点で条件を理解していることは大切だった。
立ち仕事を続けられるか
工場のラインでは、長い時間立って作業することがある。
歩く工程。
同じ場所で作業する工程。
腰を曲げる工程。
腕を上げる工程。
配属によって負担は違う。
面接では、体力に自信があるか聞かれることもあった。
自分は特別に体力がある人間ではなかった。
スポーツ経験を強くアピールできるわけでもない。
それでも、立ち仕事に対応する意思があることは伝えた。
採用後に必要だったのは、
筋肉自慢ではなかった。
毎日出勤し、
少しずつ作業へ慣れることだった。
契約期間を働けそうか
会社側からすれば、入社してすぐ辞められると困る。
採用。
入寮。
研修。
配属。
仕事を教えるためにも時間がかかる。
そのため、面接では短期間で辞めそうに見えないことも重要だったと思う。
自分は、生活を立て直すために働きたいことを伝えた。
借金を返したい。
貯金を作りたい。
そのまま言う必要はないが、
働く目的があることは、続ける理由にもなる。
何となく高収入だから応募した人より、契約期間を働く目的がある人の方が、説明しやすかった。
健康状態に問題がないか
期間工は体を使う仕事だった。
腰。
膝。
肩。
手首。
持病や過去のけがによっては、配属後に作業を続けることが難しくなる。
健康状態について聞かれた時、
採用されたいからといって嘘をつくのは危ない。
入社後の健康診断や実際の作業で分かる可能性もある。
何より、
無理をして働けば自分が苦しくなる。
自分も体力に不安はあった。
ただ、働けないような症状を隠して応募したわけではない。
正直に伝えることと、
自分から必要以上に不安材料を増やすことは別だと思った。
面接で聞かれたこと
会社や面接時期によって内容は違うが、自分が期間工の面接で聞かれたのは、主に次のようなことだった。
- 志望理由
- これまでの仕事
- 退職理由
- 空白期間に何をしていたか
- 夜勤や交替勤務は可能か
- 寮生活は可能か
- 工場勤務の経験
- 立ち仕事や体力面に問題はないか
- いつから働けるか
- どのくらい働きたいか
特別に難しい質問ではなかった。
ただ、
職歴に自信がないと、普通の質問でも責められているように感じる。
「なぜ前の仕事を辞めたのですか」
そう聞かれただけで、
過去の失敗を全部説明しなければならない気がした。
実際には、長い言い訳は必要なかった。
人間関係が嫌だった。
仕事がきつかった。
何となく辞めた。
そのまま感情的に話すのではなく、事実を短く答え、次はどう働きたいかへつなげた方がよかった。
例えば、
「以前は仕事内容を十分に確認せず入社し、長く続きませんでした。今回は交替勤務や寮生活を確認したうえで応募しています」
このように答えれば、過去の失敗だけで終わらない。
立派な経歴がないなら、
少なくとも同じ失敗を繰り返さない姿勢を見せる必要があった。
志望動機は立派でなくてもよかった
期間工を目指した本当の理由は、
お金だった。
借金を返したい。
貯金を作りたい。
住む場所も必要だった。
学歴や職歴に自信がなくても、比較的高い収入を得られる仕事を探していた。
面接で、
「御社の自動車づくりに昔から興味がありました」
と無理に言っても、深く質問されれば困る。
自分は、働く目的と期間工を選んだ理由をできるだけ簡単にした。
「寮を利用しながら働き、生活を立て直して貯金を作りたいと考えています」
「交替勤務を含む勤務条件を確認し、契約期間をしっかり働きたいと思い応募しました」
これくらいでも、
自分の考えは伝えられる。
給料が目的でも悪くない。
会社も給与や手当を求人に掲載している。
ただし、
「楽に稼げそうだから」
「すぐ辞めてもいいと思っている」
そう見える答え方は避けた方がいい。
お金が目的なら、
そのために働き続ける意思まで伝える必要がある。
中卒で困ったこと
採用された後、
中卒だから作業内容を変えられたことはなかった。
同じ工程へ配属されれば、学歴に関係なく同じ仕事をする。
作業手順を覚える。
安全ルールを守る。
異常があれば報告する。
決められた時間に出勤する。
工場内で求められたのは、
学校の成績ではなかった。
ただし、学歴がまったく関係ないとは思わない。
正社員登用を目指す時。
期間工を辞めて別業種へ転職する時。
応募できる求人を探す時。
学歴条件が気になることはあった。
期間工として採用されたからといって、
中卒という不安がすべて消えるわけではない。
工場の中では働けても、
その後の道を考えると、また履歴書を見なければならない。
期間工は学歴の問題を解決してくれる仕事ではなかった。
それでも、
何もない状態から金と時間を作ることはできた。
職歴なしで困ったこと
職歴が少ないと、最初は仕事の基本にも慣れていなかった。
毎日同じ時間に出勤する。
体調が悪くても早めに連絡する。
指示を聞く。
分からないことを質問する。
仕事が終わるまで持ち場を離れない。
働いた経験が長い人には当たり前のことでも、自分には慣れるまで時間がかかった。
ライン作業そのものだけではない。
会社で働く生活全体へ慣れる必要があった。
特にきつかったのは、
疲れていても翌日また出勤することだった。
一日だけなら頑張れる。
一週間でも耐えられる。
期間工では、それを何か月も続ける。
学歴や職歴がなくても採用はされた。
しかし、
働き続ける習慣まで会社が用意してくれるわけではなかった。
そこは自分で作るしかなかった。
期間工の仕事は簡単だったのか
未経験でも始められることと、
仕事が簡単なことは同じではない。
作業自体は、何度も繰り返せば覚えられる。
しかし、ラインの速度に合わせて正確に続ける必要がある。
一つの動作だけなら難しくない。
それを一日中繰り返すと、
体の同じ場所が痛くなる。
作業が遅れれば焦る。
工具がうまく使えなければ、次の製品が来る。
最初は、
自分には無理かもしれないと思った。
周りは普通に動いている。
自分だけが遅れているように見える。
それでも、何日も同じ工程へ入り、少しずつ慣れた。
手順を考えずに動ける部分が増える。
無駄な力を使わなくなる。
見る場所も分かる。
中卒だから覚えられないわけではなかった。
職歴がないから作業できないわけでもなかった。
分からない時に確認し、
辞めずに繰り返せるかどうかだった。
経歴に自信がない人が応募前に準備すること
履歴書で嘘をつかない
空白期間や短期離職を隠したくなる。
ただ、質問された時に説明が変われば不信感につながる。
経歴を良く見せるより、
事実を短く説明できるようにした方がいい。
退職理由を感情だけで話さない
前の会社が最悪だった。
人間関係が悪かった。
上司が嫌だった。
事実だったとしても、それだけを話すと、次の職場でも同じ理由で辞めそうに見える。
何が合わなかったのか。
今回は何を確認して応募したのか。
そこまで整理しておく。
勤務時間と仕事内容を確認する
交替勤務。
夜勤。
残業。
休日出勤。
寮生活。
求人の良い部分だけでなく、続けるうえで厳しい条件も見る。
採用されることだけを考えると、
入社後に後悔する。
最初の給料日までのお金を残す
入社しても、すぐに給料が入るわけではない。
食費。
日用品。
移動費。
寮で必要な物。
手元に金がなければ、働き始める前から余裕がなくなる。
生活リズムを少し整える
昼夜逆転したまま早番が始まれば、仕事以前に起きることが難しくなる。
毎日同じ時間に起きる。
少し歩く。
食事の時間を決める。
入社前から完璧にする必要はない。
出勤を続ける準備をしておく。
中卒・職歴なしでも期間工が向いている人
次のような人なら、期間工を生活再建へ使いやすいと思う。
- 学歴や正社員歴に自信がない
- まずは一定の収入を得たい
- 寮を利用して固定費を抑えたい
- 借金返済や貯金などの目的がある
- 立ち仕事や交替勤務へ対応できる
- 決められた作業を繰り返せる
- 契約期間を働く意思がある
- 期間工を辞めた後の準備も進めたい
経歴に自信がないからこそ、
何のために働くかが必要だった。
給料が入ったら何に使うのか。
何か月働くのか。
いくら残すのか。
満了後はどうするのか。
そこを決めておかなければ、採用されても生活は変わらない。
慎重に考えた方がいい人
一方で、次のような状態なら、給料だけで応募しない方がいい。
- 腰や膝などに強い不安がある
- 夜勤で体調を大きく崩しやすい
- 毎日決まった時間に出勤するのが難しい
- 共同生活や寮の規則に耐えられない
- 少し注意されただけで仕事を辞めたくなる
- 採用後の生活をまったく考えていない
- 高収入なら楽に働けると思っている
期間工は、経歴に自信がない人にも入口がある。
しかし、
誰でも楽に続けられる仕事ではない。
採用されるかどうかだけでなく、
契約期間を働けるかを考える必要がある。
最初の給料日
期間工として働き始め、
初めて給料が振り込まれた。
銀行口座を開く。
以前より大きな数字が表示されていた。
履歴書には、
中卒と書いた。
正社員歴もなかった。
それでも、
働いた分の給料が入っていた。
学歴が書き換わったわけではない。
立派な職歴が急にできたわけでもない。
自分が別人になったわけでもない。
ただ、
工場へ行き、
決められた作業を続けた。
その結果として金が入った。
少しだけ、
過去とは別の場所に立てた気がした。
借金を返す。
生活費を払う。
貯金を分ける。
給料は、すぐにそれぞれの場所へ消えていった。
それでも以前とは違った。
足りない金をどうするかではなく、
入ってきた金をどう残すか考えられるようになった。
期間工になれたことがゴールではなかった
中卒でも期間工になれた。
職歴がなくても採用された。
それは、自分にとって大きかった。
ただ、
採用通知が人生を変えたわけではない。
働き始めただけだった。
期間工の給料を使い切れば、何も残らない。
寮生活に慣れ、何となく契約更新を続ければ、年齢だけが上がる。
工場の外へ出た時、
また同じ履歴書を書くことになる。
だから、
期間工になれた後の方が重要だった。
借金を返す。
貯金を作る。
配達を始める。
ブログを書く。
求人を見る。
小さくても、
次へ持っていけるものを作る必要があった。
期間工は、
過去の経歴を消す仕事ではない。
それでも、
経歴に自信がなくても、もう一度働き始める場所にはなった。
まとめ:学歴より、これから働けるかを見られた
自分は中卒で、正社員として誇れる職歴もなかった。
それでも、複数のメーカーで期間工として働くことができた。
面接や採用で見られたと感じたのは、学歴だけではなかった。
- 交替勤務に対応できるか
- 立ち仕事を続けられるか
- 健康状態に問題がないか
- 寮生活が可能か
- 契約期間を働く意思があるか
- 過去の退職理由を説明できるか
- 入社後にすぐ辞めそうではないか
中卒だからといって、
応募する前に諦める必要はなかった。
職歴が少ないからといって、
働けないと決まったわけでもない。
ただし、採用された後は、学歴に関係なく同じ仕事が始まる。
夜勤。
ライン作業。
残業。
寮生活。
簡単ではなかった。
それでも、
何もないと思っていた自分でも給料を得られた。
借金を返し、
貯金を作り、
次を考える時間を持てた。
中卒・職歴なしでも期間工にはなれた。
でも本当に必要だったのは、
期間工になった後、
その時間と給料を何に変えるかだった。