体験記満了した翌日期間工7社経験
期間工を辞めた翌日、予定のない朝を迎える男性のイラスト
何も決まっていないことは、何も始められないこととは違う。

目覚ましが鳴らなかった。それでも、いつもの時間に目が覚めた。一瞬、今日は昼勤だったか夜勤だったかを考えて、すぐに思い出した。もう工場へ行かなくていい。作業着も、送迎バスの時間も、ラインも、朝礼も、残業もない。自由になった。そう思った。でも、起き上がってから何をすればいいのか分からなかった。

出勤しなくていい朝

期間工として働いていたときは、一日の流れが決まっていた。自分で予定を決めなくても、出勤時間になれば一日が始まった。辞めたいと思ったことは何度もある。目覚ましが鳴らない朝、好きな時間に起きる朝、平日の昼間に出かける朝を何度も想像した。満了すれば時間を取り戻せると思っていた。実際に迎えた朝は、思っていたより静かだった。

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何をしてもいい日は、何もしない日になった

次の仕事も、面接の予定も、誰かと会う約束もない。配達アプリを開けば仕事はできるし、パソコンを開けばブログも書けるし、求人サイトも見られる。やることはある。でも、やらなければならないことはなかった。布団の中で動画を開いて閉じ、ニュースを見て、求人サイトを開いてまた閉じる。気づけば一時間が過ぎていた。工場にいた頃なら、すでに何台も作業を終えている時間。何もしていないのに、少し疲れていた。

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自由は思ったより重かった

工場にいた頃

何時に起き、何時に働き、いつ休憩し、何時に帰れるか。すべて勤務表とラインの都合で決まる。それが嫌だった。

辞めた後

何時に起き、今日何をし、どの仕事へ応募し、貯金を何に使うのか。すべて自分で決めなければならない。誰も指示してくれない。

工場の中では、次の部品が流れてきた。工場の外では、次に何をするかを自分で用意しなければならなかった。

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貯金はあった。でも、給料日はなくなった

銀行アプリを開いた。期間工として働く前より、口座の数字は増えていた。借金も減った。給料日前に残高3,842円を見ていた頃とは違い、今すぐ生活できなくなるわけではない。それでも、口座残高を見る回数は増えた。働いていたときは、減っても次の給料日があり、残業すればその分だけ翌月の給料も増えた。今は、家賃、食費、通信費、税金、保険と、生活すれば少しずつ残高が減る。コンビニで使う数百円まで、以前より重く見えた。

満了前は、満了金が入れば少し休めると思っていた。実際には使う気になれなかった。引っ越しや移動にお金がかかり、次の仕事が決まるまでの生活費も必要で、寮を出たことで住居費も発生する。満了金はご褒美ではなく、次の収入まで生活をつなぐお金だった。

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求人サイトを開いた

昼前、パソコンで求人サイトを見た。工場、倉庫、配送、警備、営業、介護。正社員、派遣社員、契約社員。働いていたときも見たことはあった。でも、そのときは翌月も給料が入る状態で見ていた。今は、この中から本当に次の仕事を選ばなければならない。経験者歓迎、要普通免許、高卒以上、資格保有者優遇。一つずつ読むたび、自分に足りないものが目に入った。中卒、正社員経験なし、資格も少ない。

見ているうちに、また期間工の求人が一番簡単に見えてきた。寮あり、未経験可、高収入、満了金。一度経験していて、仕事の流れも想像できる。また戻れば生活はすぐに安定するかもしれない。辞めた翌日なのに、もう期間工の求人を見ていた。

新しい業界へ行けば一から覚え、面接では辞めた理由や正社員経験がないことを説明し、住む場所も自分で用意する。期間工なら、その不安の多くをまとめて解決できる。困ったときの選択肢として強すぎた。期間工を辞めたからといって、期間工ループを抜けたわけではなかった。

何度も戻ってしまう理由 期間工ループの末路は?何度も戻ってしまう理由と抜け出す条件

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配達アプリを開いた

午後になって配達アプリを開いた。オンラインにすれば、今日からでも収入を作れる。面接も合否もない。工場の給料が止まった今、その即金性はありがたかった。商品を受け取り、指定された住所へ届け、完了ボタンを押す。報酬が表示されたとき、少し安心した。給料日がなくても、完全に収入がゼロになったわけではない。

ただ、数件走ると体が重くなった。辞めればもっと元気になると思っていたのに、これまでの疲れが残っていた。配達はすぐお金になる。でも、走らなければ何も入らない。仕事は変わっても、自分の体を使ってお金を作ることは同じだった。

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帰る部屋が変わった

配達を終えてアプリをオフラインにすると、いつもの癖で寮へ戻る道を考えそうになった。もう寮の鍵はない。昨日まで当たり前に帰っていた場所がなくなると、道の景色まで少し違って見えた。今いる場所は一時的な生活の場所で、段ボール箱が部屋の隅に置かれている。期間工を辞めるということは、仕事を変えることだと思っていた。実際には、生活の形をすべて作り直すことだった。

前日の話 寮の鍵を返した朝

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何もない日にも意味はあった

夜、配達から戻ってパソコンを開き、ブログの記事を書く画面にタイトルを入力した。「期間工を辞めた翌日、予定は何もなかった」。成功した話でも、転職が決まった話でもない。何も決まっていない一日を、そのまま書いた。

工場で働いているとき、予定のない一日が欲しかった。実際に手に入れると、不安になった。でも、何も決まっていないから考えられることもあった。本当にまた期間工へ戻るのか。配達をどこまで続けるのか。どんな仕事なら長く働けるのか。ブログを何のために書くのか。工場にいた頃は、疲れて後回しにしていた。今は時間がある。その時間を不安だけで使うのか、次の準備に使うのか。そこは自分で決められる。

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明日の予定を作った

  1. 朝に起きる
  2. 求人を三件見る

    一件は応募条件を詳しく調べる。

  3. 配達は夕方に二時間だけ
  4. ブログの記事を少し進める

会社員の予定表と比べれば、何も決まっていないのと同じかもしれない。それでも、今日よりはよかった。期間工をしていたときは、会社が予定を作ってくれた。これからは、自分で一日を作らなければならない。何もしないまま不安になるより、一つだけ決めたほうが前へ進める。

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深夜2時の帰り道はなかった

その夜、深夜2時になっても外にはいなかった。工場の門を出ることも、配達から戻ることもない。部屋は静かだった。目覚ましを設定する。工場へ行くためではなく、自分で決めた予定を始めるために。自由になった。不安にもなった。また期間工へ戻る未来も見えた。それでも、同じ一日を繰り返す必要はなくなった。

何も決まっていないことは、何も始められないこととは違う。白紙の予定表に、一つずつ書けばいい。期間工を辞めた翌日は、新しい生活の始まりではなかった。新しい生活を、自分で作り始める前の日だった。